ロラン市とコペンハーゲン首都圏が、歴史的な『持続可能な共生を目指す協力協定』締結!

去る2017年1月23日、ロラン市に於いて、ロラン市とHOFOR(コペンハーゲン首都圏の公益事業会社)が、強力で、長期的・戦略的な協力協定を締結しました。この協定は、ロランという地方都市とコペンハーゲン首都圏がこれからの共生社会をともに目指す、世界にも類をみないもの。ひと言で集約すれば『持続可能な共生を目指す協力協定』です。

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記者会見の様子。©By og Landskab

23日の協定調印式と記者会見は、ロラン市のホルガ・スコウ・ラスムセン市長をはじめ、フランク・イェンセン コペンハーゲン市長、HOFOR取締役会会長レオ・ラーセン氏、東デンマークで産官学のグリーン成長を牽引する組織Gate21のスティーン・クリスチャンセン会長が出席して行われました。

この協定締結のきっかけとなったのが、コペンハーゲン市が掲げている、2025年までに、世界で初めてのCO2ニュートラルの首都になるというエネルギー政策です。これは、デンマーク政府の、2050年までに電力、熱、輸送のすべてのエネルギー部門で化石燃料から脱却するという、野心的なエネルギー政策に呼応したものですが、その大きな鍵の一つとなるのが、風力発電やバイオマス利用を中心とした、再生可能エネルギー生産です。昨年8月のコラムでも書きましたが、コペンハーゲン市は、ロラン市が当初計画していた以上の風車の建設を必要としている、という問題が生じ、風車も150m級と大型化してきていることもあって、これだけの巨大な『発電所』を、コペンハーゲンのためだけに無条件に増やす訳にはいかない、では、どうしたらコペンハーゲンという首都とロラン市という地方都市が双方にとってメリットがあり、一過性ではない、永続的で未来志向の関係性が築けるか、という議論を続けた結果、ついに、この協力協定の締結にこぎつけました。

今回の協定では、ロラン市とHOFOR双方の「対等なパートナーシップ」という部分に重点が置かれています。具体的な価値観として、「対話」「開示性」「信頼」を掲げています。

具体的には、どんな協力を行っていくのかというと、まずは、コペンハーゲン市および首都圏にグリーンなエネルギーを持続的に供給するための風力発電をロラン市でさらに推進することからスタートしますが、協定の内容はエネルギーにとどまらず、以下の5つの目標に向かって様々な取り組みを行っていきます。

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具体的なプロジェクトの実施は、Gate21が推進役となって行います。Gate21は、デンマーク東部46自治体とスウェーデン南部の33自治体およびスコーネ地域、コペンハーゲン首都圏地域、ロラン市、グルボースン市を含むシェラン地域を併せた一大エリアを、グリーンシフトとグリーン成長の世界先進地域にすることを目指す、産官学が連携する組織です。

2017年のこのプロジェクトの予算は200万デンマーク・クローネ(約3300万円)で、ロラン市とHOFORが折半します。

これからの数年で、ロラン市には、長年の夢だったエネルギーシステムの研究センターや、インフォセンターができるでしょうし、実際に登って高さや風の強さを体感できる風車なども作られるかもしれません。HOFORが所有する水とエネルギーのリビング・ラボのスタディーツアーへの活用も広がりそうです。

また、食分野でも、ロラン市で生産されるフルーツ、ベリー類、野菜などのオーガニック食材を、コペンハーゲン首都圏の公共施設で提供するための話し合いが始まります。

この『持続可能な共生のための協力協定』締結は、ロラン島で80年代から脈々と続いてきた、再生可能エネルギーへの取り組みと、今世紀になって始まった、量ではなく質の高い食へシフトするための試み、それに都市偏重型社会ではなく、都市と地方の対等な関係構築のために努力をしてきた先見の明を持った人々の努力の賜物と言えます。

まだ、法整備や情報が乏しい中、電力会社や既存の仕組みと戦いながら農地に風車を建てて、風力発電を開始した人々。ワラやウッドチップを使って熱供給や発電をしてきた地域の人々。廃棄物処理やリサイクルをクリーンでグリーンな仕組みに転換してきた人々。気候変動による海面上昇と高潮に対峙するため、新たな都市計画と、藻類培養によってお金を生み出す堤防づくりに取り組んできた人々。自宅を実証実験に開放し、これまで使っていた灯油ボイラーと引き換えに、水素のパイプラインを自宅に通して、何度となく訪れる研究者や専門家を受け入れ、協力しながら7年間の実証実験を完遂した人々。EU拡大、市場拡大と価格低下の波を受けながらも、伝統の農業に新たな付加価値を生み出した人々。そして、それを推進、協力してきた市の職員や関係者、地元の中小企業の方たち。

記者会見では、市長などそれぞれの組織のトップが華々しく新たな一歩に署名をし、スポットライトを浴びていましたが、この新たな一歩は、こうしたこれまでの市民や職員、労働者の諦めない努力と、よりよい未来を信じる力によって踏み出すことができているのだということを肝に銘じて、取り組んでもらいたいと願っています。特に、地方自治選挙が行われる今年のデンマークだからこそ、あえて、そう書き記したいと思います。

おそらく世界初の『持続可能な共生のための協力協定』。これからのロラン市とコペンハーゲン首都圏の取り組みに、ぜひご注目を!

都市がグリーンで持続可能になるための、周辺地域との関係性について

ご無沙汰しておりましたが、皆さんもきっとよい夏を過ごされていることと思います。

デンマークでは8月の第2週から新学期がスタートし、息子も8年生になりました。そろそろ、将来どんな職業につきたいのか、そのためにはフォルケスコーレを終えた後にどんな学校に進学すべきなのかを考える時期に来ています。8年生から新しく始まった教科もあるので、これについてはまた別の機会に触れたいと思います。

さて、今日の話題は、都市がグリーンで持続可能になるための、周辺地域との関連性について。これは、先週の地元紙Folketidendeの記事です。

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デンマークは、2050年までに電力、熱、輸送のすべてのエネルギー部門で化石燃料から脱却するという、野心的なエネルギー政策を掲げています。それに先駆けて、コペンハーゲン市でも、2025年までに、世界で初めてのCO2ニュートラルの首都になるというエネルギー政策を打ち出しています。その主な方法としては、省エネルギー化、グリーンなエネルギー生産、グリーンな輸送というところで、エネルギー利用の効率化による省エネルギー化や、自転車活用推進やグリーンな交通手段や輸送手段への移行も、コペンハーゲンの中で実施可能な分野です。しかし、エネルギー生産となると、話はちょっと違ってきます。

コペンハーゲン市は、2025年までに、全体で120万トンのCO2削減を行うことでCO2ニュートラルとなります。そのうち85万5千トンのCO2をエネルギー生産分野で削減するとしており、その中で風力発電が占める割合は42%となっています。しかし、コペンハーゲン市内にすべての風力発電機を建てるのは不可能ですから、周辺地域、周辺自治体と話し合いをして、自治体の都市計画で風車を建てられるスペースを定めている場合、その場所を借りて建設ができるかどうかの話し合いを進めることになります。

その結果、現在コペンハーゲン市以外の自治体3カ所に、コペンハーゲン市のエネルギー供給公社であるHOFORが建設した風力発電機が建っています。そのうちの2カ所は、ロラン市にあります。現在、デンマークの法律で陸上に建てられる最大級の大きさ、149メートル、3MWクラスの風車が合計8基建っています。

Her har vi møller

それでも、コペンハーゲン市の目標にはまだ足りません。現在、ロラン市にある3カ所の風力発電機建設予定地に、コペンハーゲン市用の風車を建てられないか、新たな交渉が始まっています。この3カ所の予定地に、ロラン市が計画しているのは全部で9基の風車の建設です。しかし、HOFORは「2列にすれば、全部で16基は建てられるのでは?」と打診してきているようで、これが今、ロラン市では大きな議論になっています。

デンマークでは、その地域の人以外が風力発電機を建設する場合には、風車株のうちの20%をその地域の人たちに売らなければいけないという法律があります。風は地域の資源ですから、地域の人でなく、よそから来た人がバンバン風車を建てて地域の資源や経済を脅かすことを防ぐためです。ロラン市の人たちは、国のエネルギー政策も、地元が国内でも1,2を争う優良風況地域ということがよくわかっていますから、コペンハーゲン市がCO2ニュートラルになるために、ロラン島のような周辺地域が協力すべきことはよく理解しています。しかし、以前の70〜80メートルの高さの風車ではなく、その倍の150メートル近い高さの風車となると、感覚的には大きな違いがあります。山がないロラン島にあっては、かなり遠くから見えますし、やはり法律で、風車の高さの少なくとも4倍の距離は住宅から離れていなければならないという法律がありますが、それなりの威圧感があります。高さ150メートルというと、地上40階建て以上のビルの高さに相当します。

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周りに比較する建物がないので、写真では149メートルの高さの実感がわかないが…。

ですから、ロラン市議会が計画している9基の建設ならまだしも、16基はちょっと多すぎやしないか、という議論になっているのです。

今週、ロラン市議会をHOFORの担当者や関係者が訪ねて、状況説明をすることになっています。市議会は、この議題に関しては残念ながら非公開となっていますが、おそらく、ロラン市側としては、地域住民が20%の風車株購入権を行使できるだけでなく、何らかの形で地域住民、さらにはロラン市やコペンハーゲン市の両方にとって有益なコラボレーションの可能性など(例えば、共同で再生可能エネルギーの教育機関や研究を立ち上げるなど)について協議されるのではないかと思われます。また、ロラン市では現在、市民に対して意見の募集を行っています。もし、ロラン市とコペンハーゲン市の共同プロジェクトなどが立ち上がれば、双方にとって素晴らしい可能性が開けると思うので、私は大いに期待したいのですが、ロラン市の自治体内でも様々な考え方や勢力、力関係があり、なかなか一筋縄ではいきません。今後の議論の行方を注視していきたいと思います。

「大都市というのは、モノも情報もカネも全て揃った完全無敵の存在のように見えるが、持続可能性という視点で見ると、実は小児病棟で保育器に入った赤ちゃんのような、脆弱な存在である」レオさんと講演をする時に、いつもこんな話をします。なぜなら、大都市は(グリーン)エネルギーも、食糧も、飲料水も、(安い)労働力も、すべて周辺地域(地方)が供給しているからです。その代わりに、都市はお金と、知識と、大量のゴミを生み出します。

これから、数十年の間に、地球上の人口は現在の70億人から、さらに20億人増加すると考えられています。その中で、全ての人に必要な食糧や飲料水、グリーンエネルギーや労働力が供給されるためには、都市と周辺地域、地方との関係がより対等で、カネや知識などの富の再配分もより平等に行われていく必要があります。都市と周辺地域、地方はそれぞれの得意分野をより伸ばしつつ、コラボレーションできるところは積極的にしていくことでお互いを補い合える、対等な共生の関係を築く時にきています。そのためのチャレンジのひとつが、今まさにロラン島とコペンハーゲンとの間で始まっているのです。

 

 

中1の英語の授業とティナ・ターナー

6月も半ばになり、デンマークでは早くも夏休みムード。多くの学校が、夏至祭のある週で学期末を迎え、1ヵ月半ほどの夏休みに突入します。

学校の授業も、夏休みや秋休み、クリスマスやイースター休暇の前は、より自由なテーマを多く扱うようになり、ユニークな授業が目白押しです。

現在7年生(日本でいうところの中学1年生)の息子のクラスの英語の授業も、今、おもしろいテーマに取り組んでいます。そのテーマとは『2人でペアになり、米国ミシシッピ州由来の音楽ジャンルやシンガーからひとつを選んで、その音楽についてのプレゼンテーションを英語で行いなさい。ブルース、ジャズ、R&B、ゴスペル、ロックンロール、またはB.B.キング、エルビス・プレスリー、ジョニー・キャッシュ、アレサ・フランクリン、ティナ・ターナー、ジョン・リー・フッカー、アイザック・ヘイズ、ジャスティン・ティンバーレイクなどを参考に』というもの。

渋い選択肢だ…。ジョン・リー・フッカーなんか選んだら、うなっちゃうなぁ…。

結局、息子たちのペアは、ティナ・ターナーを選択。彼女の生い立ちやミュージシャンとしての活動などを調べ、代表曲として紹介する”What’s Love Got To Do With It(愛の魔力)”を聴き込み、歌詞の意味を考え、どう解説するかを考える。プレゼンももちろんすべて英語で行います。

ここ3日ほどは、夕食時などにこの曲を何度もかけては、歌詞の意味するところについて、親子で話し合う毎日(笑)。この曲は、84年に日本でも大ヒットして、私も好きな曲だったし、テレビやラジオで何度も聴いたのを覚えているけれど、これほど真剣にこの曲の歌詞について考えたことはなかったので、なかなか、解釈が難しい。よく考えてみたら、当時、私はまだ英語があまりできなかったということもある。(英語自体は嫌いではなかったが科目としての学校での英語は苦手で、後の93〜94年に米国に語学留学して、ようやく英語が話せるようになったのだった…)調べてみると、この曲はティナ・ターナーのために書き下ろされた曲ではなかったようだが、今、改めて歌詞を聴くと、彼女の人生ととてもシンクロしていて興味深い。

84年当時は、将来、自分の息子とこの曲について真剣に考えることになろうとは思いもしなかったけれど、なかなかおもしろい体験です。最近は80年代がブームになっていることもあって、当時流行ったアーティストを息子たちがよく聴いているのを耳にすると、なんだか不思議な気持ちになります。

これは、デンマークの英語の授業のほんの一例にすぎませんが、本当に生きた英語を、生きた形で学ぶことに力を入れているのを実感します。語学は、まず使えてなんぼ、コミュニケーションできてなんぼ、ということなのでしょう。また、調べたことを、パワポやYouTube、映像などの形でプレゼンをするという課題は、4年生頃から各科目で始まって、子供たちは自由自在にパソコンやタブレット、携帯電話の動画機能などを駆使して仕上げ、プレゼンします。大人顔負けの、もしくは大人よりもっと斬新なプレゼンの見せ方で、驚かされることもしばしばです。

日本からのスタディツアーで、デンマークの学校の授業風景を視察すると、ほとんどの日本の方々が、こうした授業風景に驚きます。一方で、その驚いている日本の方々の反応に驚いているデンマーク人たちがいます。「日本は先進国で、貿易も盛ん、しかも世界に誇る優秀なコンピューター技術を生み出してきた国。それなのになぜ、パソコンを日常的に授業で使ったり、英語でコミュニケーションを取る授業を増やさないの???」

教育については、考えるところがたくさんあります…。

Asparges fest アスパラガス・フェスト

毎年恒例、野菜名人Søren Brandt Wiuffさんのところのアスパラガス・フェストに参加しました。

まずは採れたてアスパラガスとアスパラガスビールのテイスティングをした後、畑をずんずん歩いて、アスパラガス作りや野菜作り、人間と食、環境などとの関わりについてソエンさんの話を聞く。60人近い参加者からは、たくさんの質問が出る。そして、いよいよ実際にアスパラガスの収穫体験。少しだけ頭を覗かせているアスパラガスを見つけて、高く盛った土(というより砂)の中に、先が鋭くなっている専用の長〜い道具を差し込んで収穫する。
アスパラガスは一束の根から20本くらいが収穫できるそうで、シーズンになると毎日出てきているのだけれど、ある日突然、広い畑の中で一本も出てこない日が来て、それで収穫終了なんだとか。なぜ、毎シーズン、ある日からぱったり収穫できなくなる日が来るのかについて、ソエンさんは「科学的に実証されているわけではないけれど、アスパラガスには、お互いに何らかの形でコミュニケーションを取れる手段を持っているのではないかと感じる」とのこと。

確かに、あり得る話かもしれないし、もしそうだったらおもしろい…..!

また、いわゆる「農業研究者」の定説として、「アスパラガスの後の畑には、最低20年はニンジンなどの根菜を栽培するべきではない。味が著しく落ちる」という定説があるそうだが、ソエンさんは、アスパラガスを収穫した後の畑にアスパラガス・ポテト(細長いタイプのジャガイモ)を栽培してみたところ、驚くほどおいしいジャガイモができたそうで、彼曰く「世間でまことしやかに言われている学術的な定説も、時には実際に確かめてみる必要があるなと思う。」

世の中には、意外にそういうことも多いのかもしれない。

で、最後にアスパラガスが主役の前菜(タラのセビーチェ&アスパラガス コリアンダー風味)と主菜(アスパラガスとチキンのクリームシチュー)、デザート(ルバーブとイチゴのおかゆ バニラクリーム添え)を堪能しました。ニュー・ノルディック・キュイジーヌに偏らず、家庭的な料理でホッとする味わい。

それにしても、デンマークの初夏は何と美しく、おいしいことか...!

自然の恵み、そして日々命と向き合い、私たちの命を育んでくれる、食料生産者の皆さんのハードワークに感謝。


今年はいろいろあって家庭菜園はお休みですが、来年はまたきっと野菜を育てようと思います。

フレデリック皇太子とスクールオリンピック

今日は、ロラン島のフォルケスコーレ(小中学校)8校の4〜7年生合同でスクール・オリンピックが行われましたが、なんと、フレデリック皇太子が参加されました!

http://www.tveast.dk/artikel/fik-du-set-kronprins-frederik-til-skole-ol

リンクの映像にあるように、皇太子殿下は子供たちと一緒に走ったり、話したり、インタビューに答えたり。ちょうど息子の学校は今年が創立100周年で、今週はそのテーマウイークです。息子たち7年生は記念の新聞を作ることになっているのですが、スポーツ班の子供たちは、しっかり皇太子殿下にインタビューをしたようで、その感想は「(皇太子殿下は)とっても感じがよくて、質問にもしっかり答えてくれて、すごくいい経験をしました!」明日には、それぞれが各テーマ別に自分たちのPCで記事を書き、新聞として仕上げます。

今月で48歳になられるフレデリック皇太子は、国民の間ではスポーツマンとしてもよく知られており、ヨットレースでは国内外で上位入賞されるほどの実力です。また、コペンハーゲンマラソンや各地のフルマラソンを走られたり(これまでのフルマラソンのベストタイムは3時間6分台だそうです!)、トライアスロン大会にも出場され、見事完走してロイヤルファミリー初の『アイアンマン』となっています。

さらに、2009年からはIOCの委員もされています。昨年、日本にメアリー皇太子妃とご夫妻でお見えになった時には、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会施設予定地を視察されておられました。昨年、ロラン市と震災復興協定を結んでいる宮城県東松島市の名代として、皇太子殿下に東松島産のお米を献上に伺った際にも、東京オリンピック・パラリンピックにはとても関心を持っているとおっしゃっていました。

今日、ロラン島で行われたこの『スクールオリンピック』は、日本で言えば陸上競技大会のようなものだと思います。100m走、400m走、ハードル、走り幅跳び、遠投などが行われたようです。

デンマークでは、親はほぼみんな共働きなので、日本ではお馴染みの授業参観や運動会など、親が子どもの学校でのアクティビティを見られるような機会はほとんどありません。国語や英語の授業の一環として行う演劇を、平日の夕方からごはんやデザート、コーヒーなどを持ち寄って、演劇の成果を見せてもらって、その後一緒に食事をする、といったようなことがあったり、年に一度、スクールフェスティバルやクリスマスバザーがある程度です。ただ、学校でのアクティビティの様子は、イントラネットを通じて情報を得られますし、写真なども見ることができます。また、学校や先生と親、先生と子ども、親同士などもイントラネットのメールや掲示板でやり取りができるようになっているので、何をやっているのかまったくわからない、ということはありません。ちなみに、宿題や課題も、このイントラネットで確認ができますし、病欠などの連絡もここでやりとりをします。

このように、普段はあまり学校で子供たちの活動を目にする機会のない私たち親ですが、今日は、ひょっとしたら職場が競技場のあるMaribo(マリボ)の町に近い親御さんたちは、仕事を抜けてちょっと様子を見に行った人もいるかもしれませんね(笑)。

 

 

ロラン島の春

長く暗い冬が終わり、デンマークの春はまばゆい光で溢れています。

木々は一斉に黄緑色の新芽が芽吹き、様々な種類の花が競うように咲き誇ります。

鳥のさえずりも賑やかです。

ロラン島には、地元の人に愛されているチューリップの名所があり、多くの人が訪れ、思い思いに眺めたり、写真を撮ったりしています。

菜の花畑も、そこかしこに出現します。

野ウサギがじゃれあって遊ぶ光景も、あちこちで見かけます。

そろそろ、ハリネズミを見かける頃でしょうか。

国と自分との関係ってなんだろう?

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この夏の参議院選挙から『18歳選挙権』が実現します。

でも、日本のメディアでは、あまりこのことについて議論されていないように思い、ジリジリとした気持ちでいました。

なぜ、18歳から選挙で投票できるようになるのか。そうなることで、社会にはどんなメリットがあって、どんな影響があるのか。そもそも、選挙って何か。清き一票というけれど、なぜ選挙で投票に行った方がいいのか。選挙に行くと、社会はどう変わるのか。

こういうことを、学校でも、家庭でも、地域でも、じっくり話し合う必要があるのではないかと感じています。

そうしたら、昨日、NHKで『18歳からの質問状』という番組が放送されたようで、私もちらっと拝見する機会がありました。

ここでは、多くの18歳のみなさんが、現在、それから将来へ向けて感じる不安について、それから選挙で投票することの意味について、話し合われていました。

近い将来に対峙する就職や結婚などだけでなく、老後についても、すでに不安を感じているということに、悲しみを覚えました。18歳や19歳という年齢は、少なくとも私の育ってきた年代までは大半の人にとって『夢と希望でいっぱいの世代』だったと思うのです。でも、大変な受験勉強をやり遂げて、やっとの思いで大学や希望の進学先に進んでも、その先には大きな不安が立ちはだかっている…。なんだか、やりきれない気持ちです。

人は、基本的に生まれてくる国を選ぶことはできません。普通は、生まれた国で育ち、そこで暮らしを続けていきます。幸いにして、日本は民主主義国家です。ウィキペディアを見てみると「『国民主権』が日本国憲法第一条で定められており、『平和主義』『基本的人権』とともに三大原則のひとつとされている。」「国民主権のもとでは、主権は国民に由来し、国民は選挙を通じて代表機関である議会、もしくは国民投票などを通じて主権を行使する。その責任も国民に帰趨する。」とあります。

つまり、私たち国民が、自分たちが暮らしたいと思う国づくりをするためには、「選挙を通じて代表機関である議会、もしくは国民投票などを通じて主権を行使」することに「責任を負っている」ということになります。『国民主権』も、『平和主義』『基本的人権』も、日本国憲法で定められている事柄ですから、私たち国民には、それを享受する権利と、守っていく責任があるということですよね。

そうすると、おのずと、なぜ選挙に行く必要があるのか、の答えが見つかります。

ただ、日本は、国民から政治がなんだか遠い国になってしまっている気がします。それはなぜか、今、私が暮らしているデンマークと比較して考えてみると、いくつか理由が見えてきます。

  • 普段の生活の中で、政治の話はタブーな雰囲気がある
  • 学校で、自分の生活と密着した形で地域の政治、国の政治、国際政治、民主主義について実践的に学ぶ機会が少ない
  • 家庭で、あまり政治の話をしない
  • 大人も子どもも忙しすぎて、身近にいる地元の政治家や政党がどんな政策を持って活動しているのかを知る機会を得られない
  • 被選挙権年齢が高く、供託金も高額なので、選挙に立候補できる人が選別されている可能性がある。一般的に若い年代での立候補は難しく、世襲政治家や職業的政治家の増加を助長する一端となりかねない
  • メディア上での政治や政策に関する良質な議論や討論の場が日常的に少ない。メディアの大きな役割の一つである、政治についての報道をすることで、国民に政治的判断の基準を与えるという部分が不十分である
  • 政治家と腹を割って話せる機会が限られていることが多く、政治に接するのはメディアを通してなので、過去の事例などから、国民の、政治家や政治自体に対する漠然とした不信感が拭い切れない

他にも、いろいろ理由はあるかもしれません。

デンマークと比較して、と前に書きましたが、デンマークではここに羅列したことの反対のことが行われています。国の規模の違いはあろうかと思いますが、全体的に政治が国民、市民に非常に近いところにあります。これまでの国政選挙の投票率が常に85%以上を保っていることからも、その一端がうかがえます。

デンマークは、各種調査で『世界で一番幸せな国』に何度も選ばれています。かといって、全く不満のない国かというと、もちろんそういうわけではなく、問題や課題もたくさんあります。ただ、毎日の暮らしの中で、自分や、家族や、地域の人たちや、国や、世界の人たちの不安をひとつでも取り除いて、心地よく生きられる社会を作ろうと、あきらめずに様々なチャレンジをしている国だなぁというのが、この国に暮らす私の実感です。幸せは、様々な立場の人たちの不安な要素を一つでも減らしていく努力をすることで、得られているものなのです。

そう考えると、冒頭に触れた、日本の18歳、若い世代が感じている不安を減らしていくことが、暮らしやすい国、この国に生まれてよかったと思える国、日本をつくっていくことにつながるのだろうと思います。

デンマークでの民主主義はどのように機能しているのか、教育、福祉、エネルギー、NGO活動を通して、日本はどんな国になりたいのかを、皆さんと一緒に考えるスタディツアーを、この夏に企画しています。見どころ、体験どころ満載ですが、特筆すべきは、かつて1970年代に環境NGOとして、デンマークでの原発の利用の是非について国民や政治家を議論に導いた元原子力情報組織(OOA)の幹部が、草の根民主主義やデモなどについて、一緒に議論に参加してくれることになっています。8月22日〜29日のこのツアーでは、私が責任を持ってコーディネーターと案内人を務めます。ぜひご参加ください!皆さんにお会いするのを楽しみにしています。

※写真はコペンハーゲンのクリスチャンスボー城。デンマーク王室や政府の迎賓館として利用されているほか、国会議事堂、内閣府、最高裁判所が置かれています。デンマークの歴史や民主主義について知るために、ぜひ一度は訪れたい場所です。タワーの上には、眺めがよく、雰囲気のいいレストランも。

TReasure Every Encounter 〜ニールセン北村朋子のページ

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